【広報コラム】「歴史の交差点、亀の瀬。」(2020・10)
2024年9月6日
市内の峠にある亀の瀬は、龍田古道と葛城修験の2つの日本遺産の構成要素になっています。葛城修験での亀の瀬に注目してみると、鎌倉時代にまとめられたとされる『諸山縁起(しょざんえんぎ)』には、葛城修験の行場(ぎょうば)や祈祷・宿泊のための宿(しゅく)など95カ所が挙げられています。このうち28カ所の主要な行場・宿に法華経が分配・埋納されました。95番目の最後にあるのが「亀の尾の宿」で、亀の瀬あたりを指していると考えられます。なお94番目の行場は「国分寺」とあり、そこから亀の尾の宿へと向かったようです。
葛城修験にとって重要な法華経は、6世紀後半に日本に伝わったとされ、古くからなじみのある経典といえます。また『日本書紀』には「推古14(606)年、厩戸皇子(うまやどのみこ)(聖徳太子)が法華経を岡本宮(おかもとのみや)(現在の法起寺)で講じた」とあります。そんな厩戸皇子と深い関わりのある龍田古道と、法華経の世界をたどる葛城修験が、偶然にも同時に日本遺産に認定され、2つのストーリーが亀の瀬で交差するというのは、何か不思議な因縁を感じます。
葛城修験をきっかけに初めて亀の瀬を訪れた人にとっては、亀の瀬が歴史ある龍田古道のルート上にあり、また地すべり対策工事が現在も続けられているなど、修験道以外にも、歴史的・防災的な側面があることに驚くのではないでしょうか。いくつもの顔がある「亀の瀬」の魅力をどう発信していくのか、良いアイデアがありましたら、ぜひお聞かせください。
▲ポスター(歴史の交差点)
(2020年10月号掲載)
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