【広報コラム】「大和川つけかえと中甚兵衛」(2019・11)
2024年9月12日
大和川の付け替えといえば中甚兵衛という答えが返ってくるくらい、中甚兵衛は有名人です。しかし、皆さんが抱いている中甚兵衛の姿は、実際とは少し違っているのではないでしょうか。
貞享(じょうきょう)元(1684)年までに付け替え運動を行っていた人物としては、芝村の曽根三郎右衛門(そねさぶろうえもん)と吉田村の山中治郎兵衛(やまなかじろべえ)の名しか見えません。甚兵衛の名が付け替え関連の史料に登場するのは、付け替えの前年のことです。また、中家文書の中に付け替えに関わる史料は貞享4(1687)年以降のものしかありません。どうやら甚兵衛が付け替え運動に関わったのは、貞享4年ごろからのようです。そして、貞享4年以降、河内の村々は付け替えを諦め、水の流れが良くなるような治水工事の運動へと変化しています。運動に参加する村々もどんどん減っていきました。この衰退する運動の中心人物が中甚兵衛だったのです。甚兵衛が運動に関わったのは、17年間ほどでしょう。
甚兵衛が、河内の村々をまとめあげて幕府の方針を転向させたといわれますが、事実はずいぶん違います。ただ、運動を諦めなかったことが、付け替えの実現に結びついたのは事実です。
歴史資料館では、12月8日まで秋季企画展「大和川つけかえと中甚兵衛」を開催しています。ぜひ展示をご覧ください。
▲中甚兵衛肖像画(市指定文化財)
(2019年11月号掲載)
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