【広報コラム】「注目度ナンバーワン」(2020・12)

2024年9月6日

 大阪と奈良を結ぶ道として古代から渋河道、竜田道があり、亀の瀬を通っていました。近代になるとこの道に沿うように鉄道が計画され、亀の瀬をトンネルで貫く案が採用されました。地質が不安定とあって工事は難航したものの、この「亀かめのせずいどう瀬隧道(ずいどう=トンネルのこと)」の開通によって、ついに明治25(1892)年2月2日、大阪と奈良をつなぐ最初の鉄道が開業しました。その後、昭和6年から起こった大規模地すべりでトンネルは崩れ落ち、大阪側奈良側それぞれの口も改修工事で撤去され、トンネルの存在も忘れられていました。
 ところが、地すべり対策工事が進む平成20年に60メートルほど残っているのが見つかり「亀の瀬のタイムトンネル」として話題になりました。
 職人が手作業で積んだ煉瓦に蒸気機関車が噴き上げた煤すすがこびりついています。また奈良側に向けては地すべりのエネルギーの大きさを示すかのように、天井を破って流れ込んできた土砂によって埋め尽くされています。
 今年6月「龍田古道・亀の瀬」が日本遺産に認定されると、それを報じるテレビニュースではこのトンネルを圧巻と表現しました。対策工事も終えたことから、今となっては地すべりの様子を実際に目にすることはできません。何よりもその様子をリアルに体感できるのがこのトンネルの魅力でもあるのです。
※大和川河川事務所への事前予約で、資料室、排水トンネルなどを見学できます。

亀瀬隧道

▲亀瀬隧道

(2020年12月号掲載) 

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