【広報コラム】「聖徳太子の棺か?」(2021・2)
2024年9月5日
歴史資料館に、聖徳太子の棺の一部ではないかと考えられる漆塗りの板があります。これは玉手町の安福寺(あんぷくじ)の所蔵品で、柏原市有形文化財に指定され、現在は歴史資料館で保管しています。長さ98.3cm、幅48.8cm、厚さ2.8cm、重さ17.7kgの板で、棺の短側面と考えられます。布に漆を塗り、また布を張って漆を塗るという作業を繰り返して作られたもので、このような棺を夾紵棺(きょうちょかん)といいます。夾紵棺はこれまでに7基の古墳から出土していますが、そのほとんどが麻布で、絹布を45枚も重ねた安福寺の夾紵棺は最高級品です。
これまでに確認されているものは、いずれも幅70cm前後で、幅1mと復元されるこの夾紵棺は、巨大な棺だったことがわかります。太子町の叡福寺(えいふくじ)境内にある聖徳太子墓の太子の棺は夾紵棺と伝えられていますが、実物が残っていません。しかし、その棺台の幅が111cmで、この夾紵棺を納めるのに適した幅になります。この巨大で最高級の夾紵棺は、聖徳太子の棺に相応しいと考えられているのです。
安福寺は叡福寺と親密な交流があったことが分かっており、聖徳太子の棺の一部が安福寺に送られたのではないかと考えられます。今年は聖徳太子が亡くなられて1400回忌となります。この夾紵棺片は、聖徳太子の棺の可能性が高いとして、春には奈良国立博物館、夏には東京国立博物館で展示される予定です。
▲安福寺所蔵の夾紵棺
(2021年2月号掲載)
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