【広報コラム】「あの赤馬がほしいな~」(2021・7)
2024年9月5日
飛鳥戸郡(あすかべぐん)に住む田辺史伯孫(たなべのふひとはくそん)は、娘が出産したので、古市郡の嫁ぎ先までお祝いに出かけました。祝いの宴会が長くなり、帰るころには月夜となっていました。帰る途中、誉田陵の近くで赤い馬に乗った人と出会い、自分の馬と競争させましたが、赤馬は飛ぶような速さで駆け抜け、とても追いつくことはできませんでした。「あの赤馬がほしいな~」と思った伯孫の気持ちが通じたのか、その人は、自分の赤馬と伯孫の馬を交換してくれました。喜んで家に帰った伯孫は、馬を馬小屋に入れて、えさを与えて寝ました。翌朝、馬小屋に行ってみると、ゆうべの赤馬が土の馬に変わっていました。びっくりした伯孫が、馬を交換したところへ行ってみると、ゆうべまで自分が乗っていた馬が、誉田陵の埴輪の中に並んでいました。ゆうべの赤馬は、誉田陵の埴輪の馬だったのです。そこで、埴輪の馬と取り替えて、自分の馬を連れて帰りました。
これは、『日本書紀』の雄略天皇9年のところに書かれているお話です。飛鳥戸(安宿)郡は、現在の柏原市南部、伯孫は田辺に住んでいたのです。古市郡は羽曳野市の古市、誉田陵は応神天皇陵古墳(誉田御廟山古墳)のことです。この不思議な話は、応神天皇の偉大さを語るものであり、田辺史一族の由緒を語るものです。このほかにも、『日本書紀』には、柏原がいろいろと登場しています。企画展をぜひご覧ください。
▲安堂出土の馬形埴輪
(2021年7月号掲載)
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