【広報コラム】「注目遺跡‐船橋(ふなはし)遺跡‐」(2021・9)
2024年9月5日
柏原南口駅の西側から大和川を挟んで藤井寺市船橋町・北條町へと広がる船橋遺跡は、かつて土器が採集できる遺跡として有名でした。というのも、1704年の大和川付け替え工事で、遺跡中央に川が流れることになり、以後、大雨で川が増水するたびに河川敷の土が流されていきました。その結果、地中の土器が地表に現れ、かなりの量の土器が採集され、個人で6000点以上も収集しているケースもありました。現在は護岸整備により、増水しても土器が見つかることはありません。
歴史資料館には、個人から寄贈された船橋遺跡の土器が多数ありますが、ほかに大阪府立弥生文化博物館、東京国立博物館、京都国立博物館にも寄贈資料があります。特集展示で展示中の船橋遺跡の土器の一部は、京都国立博物館所蔵品で、弥生時代中期から後期(約2100~1800年前)の壺つぼなど、ほとんど欠けがない優品です。この頃の土器には、表面に櫛のような工具を使って文様をつける「櫛描文(くしがきもん)」があり、弥生土器のなかでも最も華やかに飾られた土器といえます。また、ほぼ完全な形だからこそわかる土器のフォルムの美しさにも注目です。
なお、相互展示ということで、歴史資料館所蔵の大県遺跡の墨書土器・瓦、安堂遺跡の人面墨画土器、田辺古墓群の骨蔵器など約40点を京都国立博物館へ出品しています。もし京都に行かれた際は、ぜひ国立博物館にて柏原の名品もご覧ください。
▲特集展示「船橋遺跡」
(2021年9月号掲載)
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