【広報コラム】「三田家文書の世界」(2022・2)

2024年8月30日

 本市今町の周辺は、奈良街道に沿って、風格の漂う旧家が軒を連ねています。戦災や開発によって、大坂市中の町家建築の多くが失われてしまったなか、江戸時代の上方の風情を今に伝える貴重なエリアであると言えましょう。なかでも三田家住宅は、建築年代、そして建築過程の詳細が古文書から判明する点が希少であり、国重要文化財にも指定されています。
 三田家には、その「居宅普請関係文書」をはじめとする膨大な古文書が、歴代ご当主によって、大切に蓄積・保管されています。歴史資料館では、平成25年以来、継続してそうした古文書の調査をしており、本市の豊かな歴史に関する、さまざまな新知見を得つつあります。
 現時点で、その最大のものは、大坂―平野―柏原を結ぶ貨物輸送用の船、「柏原船」(昨年8月号でも触れました)の誕生に至る経緯を記した、「由緒書(ゆいしょがき)」の発見でしょう。三田家には、従来知られていた「由緒書」の親本と考えられる、より古いそれが残されていました。そこには、江戸時代初期の書状などが多数写されており、豊臣から徳川へ、激動の時代のなかで、柏原がどのような発展を遂げたのか、克明に記されているのです。
 今年度12月~3月期の歴史資料館特集展示では、三田家ご当主のご好意により、こうした三田家文書の一部を、特別に公開しています。この機会に、ぜひ、たくさんの古文書から、柏原の豊かな歴史の一端を感じてください。

三田家蔵『柏原船由緒書』

▲三田家蔵『柏原船由緒書』

(2022年2月号掲載) 

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