【広報コラム】「信貴山詣で」(2022・5)
2024年8月30日
本市では現存最大を誇る立派な道しるべが、今町の奈良街道沿いにあります。柏原の小間物(こまもの)屋が世話人となって、天保9(1838)年に建立されたものです。
道しるべのある場所は、今町の町並みの北端で、法善寺、平野を経て、信貴山朝護孫子寺(しぎさんちょうごそんしじ)(現奈良県平群(へぐり)町)に登る道と分岐する重要な地点でした。「右 信貴山毘沙門天(びしゃもんてん)…」の文字が、現在でもはっきりと読み取れます(向きが違うように思えますが、南から北向きに街道を歩いてきた旅人たちに見えるようになっています)。この丁字路でしばし止まり、また歩みを進める旅人の群像を想像してみると、江戸時代にタイムスリップしたような心地になります。
信貴山への参詣道としては、青谷、雁多尾畑を経由するルート、八尾や奈良県側から登るルートもありますが、柏原からの道は、堺・住吉方面からの参詣客が多く利用してきたようです。もちろん、本市域の人たちの使うルートでもありました。
これらの道は、古く大和朝廷の時代、信貴山上の一帯に存在した古代山城「高安城(たかやすのき)」に登る道であったのでしょう。やがて、朝護孫子寺を目指す人々の道となり、聖徳太子にまつわる信仰も深い、本尊 毘沙門天と縁のある寅年・寅の日・寅の刻には、とりわけ多くの参詣客を集めました。境内の巨大な張り子の虎をご存知の方も多いと思います。
交通手段はバスやケーブルカー、自動車に変化していますが、寅年ということもあって、本年も、信貴山に参詣客の絶えることがありません。
▲今町の道しるべ
(2022年5月号掲載)
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