【広報コラム】「柏原とぶどう」(2022・10)
2024年8月30日
夏から秋にかけての代表的な味覚であるぶどう。そのピークは、遅いもので10月といわれており、市内でも8月から10月まで、ぶどう狩りが行われています。市では江戸時代の中頃にはぶどうの栽培が開始され、明治時代に入ってから本格的な生産が始まりました。
そんなぶどうの歴史は古く、紀元前8000年頃には西アジアで栽培が始まり、その後ヨーロッパや中国に伝わりました。日本では奈良時代に中国から入ったものを栽培し始めたとも、鎌倉時代に甲州(現在の山梨県)で発見されたものを栽培し始めたとも言われています。
また、ぶどうは古来より信仰の対象ともなっており、葡萄唐草文(ぶどうからくさもん)と呼ばれる文様が世界各地で使用されています。日本にも遣唐使によって中国から伝わっており、飛鳥時代から奈良時代にかけて、さまざまな工芸品などに使用されています。
代表的なものとして、奈良県高松塚古墳などで発見された海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)などが挙げられることが多いですが、他にも鴟尾(しび)という古代の宮殿や寺院の大棟両端に付けられた飾りにも使用されています。
この葡萄唐草文鴟尾は日本中探しても、柏原市の智識寺跡と大阪市の難波宮跡でしか出土していない特殊な鴟尾であり、智識寺の豪華さを物語る資料の一つであります。
時代を超えた柏原市とぶどうのつながりに直接的な関係はありませんが、何か不思議な縁を感じます。
▲智識寺跡出土鴟尾推定復元図(飛鳥資料館1980『日本古代の鴟尾』から)
(2022年10月号掲載)
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