【広報コラム】「桃に秘められた力」(2023・3)

2024年8月29日

 3月に行われる年中行事の一つに雛ひな祭りがありますが、これは正式には上巳(じょうし)の節句というもので、元々は人形に災厄を託し水に流す祓はらえの行事でした。その後、平安時代の貴族の子どもの遊びなどと結びつき、江戸時代ごろには現在の雛祭りの形になったと言われています。
 また、上巳の時期には桃の花が咲き始めることから、桃の節句とも呼ばれ、好んで桃の花が飾られています。
 そんな桃には魔除けの力があると古代中国では考えられていました。この考えが日本でも信じられるようになり『記紀』ではイザナギが黄泉(よみ)の国から逃げる際にイザナミの追手に投げたものの一つとして桃が登場します。
 さらに、古墳時代から奈良時代の遺跡ではしばしば桃核(とうかく)が出土することがあります。特に井戸や溝などからの出土が多く、これは桃の保存のためだけでなく、水に関わる祭祀に桃が使用されていたからだと考える説もあります。
 柏原市内では安堂遺跡や田辺遺跡、本郷遺跡など多くの遺跡の溝や井戸から土器などとともに桃核が出土しています。その目的はわかりませんが、もしかするとなにか厄を祓おうとしていたのかもしれません。
 桃の力で厄を祓い、健康で素敵な春を迎える準備をしてみるのはいかがでしょうか。
 また、資料館では今年もスポット展示としておひなさんを飾っておりますので、そちらもぜひご覧ください。

桃核写真

▲安堂遺跡から見つかった桃核

(2023年3月号掲載) 

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