【広報コラム】「百済の王族が眠る?高井田山古墳」(2023・4)

2024年8月29日

 史跡高井田横穴公園内に、高井田山古墳という古墳があります。初期の横穴式石室をもち、珍しい『ひのし(古代のアイロン)』が出土していることで有名です。マスコミの取材も多く、「世界不思議発見!」で紹介されたこともあります。その高井田山古墳には、だれが葬られているのでしょう?
 高井田山古墳が築造されたのは5世紀後半頃です。そのころ、朝鮮半島には高句麗、新羅、百済という三つの国が対立していました。横穴式石室は、百済の横穴式石室と同じ構造です。ひのしは、百済の武寧王陵から出土したひのしとそっくりです。高井田山古墳には二人の埋葬があり、その二人の人物は夫婦と考えられますが、日本には夫婦を同じ石室内に埋葬することはなく、中国や朝鮮半島の埋葬方法なのです。これらの事実から、高井田山古墳に埋葬されたのは、百済から渡ってきた渡来人だったと考えられます。しかも石室の規模やすばらしい副葬品から考えると、百済の王族クラスの人物と考えられるのです。
 高井田山古墳に埋葬された人は、なぜ日本にやってきたのか?なぜ百済に帰らなかったのか?春季企画展「百済の王族が眠る?高井田山古墳」では、これらの謎に迫ってみたいと思います。

高井田山古墳出土_ひのし

▲高井田山古墳で見つかったひのし

(2023年4月号掲載) 

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