【広報コラム】「熟覧‐高井田山古墳‐」(2023・5)
2024年8月29日
現在開催中の春季企画展「百済の王族が眠る?高井田山古墳」について、前回のコラムでも紹介しましたが、今回はちょっとマニアックな視点から展示資料の魅力を伝えたいと思います。
同古墳の看板的な資料といえる「ひのし」には、炭を入れる火皿と柄の部分があります。よく観察してみると火皿のなかには直径4mmほどの紐、火皿の回りや柄の部分には布目が残っています。つまりひのしは布にくるまれ、それを紐でくくって女性とみられる亡骸の頭部横に置かれていたのです。ひのしが非常に丁寧に扱われていたことを示す証拠で、女性にとっても大切な品物だったのでしょう。
その女性が眠っていた棺について、棺の素材である木材は腐って土になっていましたが、棺に使用されていた鉄釘が40点近く見つかっています。一見しただけでは赤茶色の細長い塊にしか見えない鉄釘ですが、その長さは15~20cmほどでした。その半分ほどの7∼9cmが棺の板の厚さと推定できます。重要なのはそれらの鉄釘がほぼ本来の位置で見つかったことで、板の厚さと位置から復元すると、長さ228cm、幅74cmの棺となります。ちなみに女性が身に着けていたアクセサリーの位置から、150cm前後の身長だったようです。遺体が納められた立派な棺を古墳の中に運び入れるのは、大変な作業だったと想像できます。
展示では市民歴史クラブ製作による古墳の復元模型もあり、かつての古墳の様子も分かりやすく紹介しています。柏原が誇る高井田山古墳の資料をじっくりご覧ください。
▲展示風景
(2023年5月号掲載)
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