【広報コラム】「古代の音色」(2023・6)
2024年8月29日
音を鳴らすもの、といえばさまざまありますが、その中でも特に多くの場面で使われるものとして鈴があります。
鈴がいつごろ生まれたかは定かではありませんが、日本では縄文時代に既に土鈴(どれい)という小石などを土の球に入れたものが存在しています。そして、種類は少し異なりますが、弥生時代には銅鐸(どうたく)が使用されています。
その後古墳時代、5世紀になると今私たちが鈴と言われて思い浮かべるような金属の鈴が大陸から入ってきます。元々は馬具の一つでしたが、当時の人々が初めて聞く鈴の音色に神秘的なものを感じたのでしょうか、祭祀(さいし)道具や古墳の副葬品(ふくそうひん)としても用いられるようになります。
そして、形や用途は少し変わりながらも現在まで使われ続けているのです。
そんな鈴は柏原市ではほとんど見られませんが、本郷遺跡では弥生時代の小銅鐸が、そして高井田横穴群では鈴付高坏(すずつきたかつき)というものが見つかっています。この鈴付高坏は、脚の膨らんだ部分に小石を入れているようで、振ると音が鳴るようになっています。
このような土器は全国でも数はそう多くはないですが、どれもお供えの道具として使用されていたようです。おそらく音が鳴ることに意味があったと思われますが、何を入れてどのように使ったのでしょうか。
資料館のウェブサイトから鈴付高坏の音色を聞くことができるようになりましたので、古墳時代から変わらぬ古代の音色をぜひ聞いてみてください。
▲鈴付高坏
(2023年6月号掲載)
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