【広報コラム】「古墳時代の国分周辺」(2024・7)

2024年8月20日

 現在の国分市場、国分本町から田辺にかけてのエリアにはかつて多くの古墳が存在していました。
 代表的なものとしては、国史跡松岳山古墳を中心とする古墳時代前期の古墳群である松岳山(まつおかやま)古墳群があります。松岳山古墳群は、芝山の西の細長い丘陵に4世紀初めから後半にかけて造られた9基以上の古墳からなります。しかし、現在残るのは松岳山古墳とその西隣にある茶臼塚古墳だけです。松岳山古墳では、国分神社裏手の道を上っていくと後円部墳頂に露出した石棺や石室に使用されていた板石が散乱する様子、そして丸い孔が開いた立石など他の古墳ではあまり見られない特徴的な光景を見ることができます。
 他にも、田辺池の東、現在住宅地が広がる場所には田辺史(たなべのふひと)氏の墓域と考えられている田辺古墳群などもあります。ここには、古墳時代終末期の古墳や奈良時代の火葬墓など合わせて20基以上が存在していたことがわかっています。
 そして、これらの間にあたる古墳時代中期、5世紀には現在の国分中学校付近にも古墳が築かれていました。この古墳について詳しいことはわかっていませんが、そのうちの一つの古墳から見つかった円筒埴輪が歴史資料館に保管されています。
 やむなく失われたものも多くありますが、今も残る資料から往時の様子、我々の足元に眠る歴史をぜひ感じてみてください。

国分中学校西古墳出土円筒埴輪
▲国分中学校西古墳出土円筒埴輪

(2024年7月号掲載) 

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