【コラム】変化する大和川つけかえ運動(2)大和川付け替え学習への取り組み

2024年9月10日

 小学4年生の学習に活かしてもらいたいという趣旨で、「大和川の付け替え」に取り組んでいます。柏原市役所前が付け替え地点であること、中家文書の寄贈を受けたことも大きな理由です。4年生は教科書や副読本で、「大和川の付け替え」について学んでいますが、そこに書かれている内容が中甚兵衛を中心とする記述で、甚兵衛のおかげで大和川が付け替えられたとするものが未だに多くみられます。

 当館では、展示や講演会、コラムなどで大和川付け替えの実態について紹介してきました。また、『大和川の歴史-土地に刻まれた記憶-』(2020年・清文堂)を執筆し、少しでも多くの人に事実を知ってもらいたいと努めてきました。このような取り組みによって、少しずつ「大和川の付け替え」に対する理解も変化してきたと感じています。どのような授業を行えばこどもたちの理解を深めることができるか、こんな授業をしているがどうか、といった相談も多くなりました。副読本の改訂に伴って、どのような記述にすればいいか、と相談に来られる先生も増えました。事前に内容をチェックしてもらいたいという教科書の出版社もあります。

 それでも、これまでの学習内容を変えることがむずかしいと考える先生も多いようです。先生が忙しすぎて、学習内容を十分に検討する時間がないという実態もあります。「小学生ならば、甚兵衛さんが付け替えたでいいのではないか」という意見もありますが、それは違うと思います。子どもたちにこそ、ほんとうの歴史を学んでほしいと思います。それでなければ、自分で考えて、正しい判断をできる人に育たないと思います。

 これまで教えてきたことを変える必要があるならば、マニュアルを作ってほしいという先生もあります。しかし、こどもの理解度や気質を知っているのは先生だけです。その先生がどのように進めればいいかを考えなければならないと思います。いくらでも相談にはのります。でも、どのように進めるかを決めるのは、やっぱり先生だと思います

 このコラムをお読みの先生がおられるならば、ぜひ子どもたちに合った授業を組み立ててください。もちろん、お手伝いはさせていただきます。何でもお聞きください。

 (安村)

つけかえまでの大和川

つけかえまでの大和川

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