【コラム】高井田山古墳ってどんな古墳? (7)東棺のそのほかの副葬品
神人龍虎画像鏡
銅鏡は鏡面を上にして出土しています。面径20.6cm、重量1271.7g。鏡背の文様は、四つの乳で区切られた区画に神像と獣像が交互に配され、神仙思想が表現されています。銘帯には「王氏作竟佳且好 明而日月世之保服此竟者不知老 寿而東王公西王母山人子高赤松 長保二親宜子孫」とあります。銅鏡には綾・平絹が付着しており、ひのしと同様に布に包んで副葬されていたようです。この銅鏡は中国の鏡から型をおこして造った同型鏡群とされるもので、高井田山古墳出土の銅鏡と同じ型で造られた神人龍虎画像鏡が、京都市伝鏡塚古墳、福岡県みやこ町馬ヶ岳古墳、奈良県宇陀市米山(愛宕山)古墳、岡山県瀬戸内市築山古墳から出土しています。
金製耳環
純金製の耳環が2点出土しています。西棺の金環と酷似していますが、西棺出土品よりもやや小さいものです。被葬者の両耳に付けられた一対と考えられます。
ガラス玉
ひのしの柄部分から181個のガラス玉がまとまって出土しており、1点は金層ガラス玉、2点は淡緑色のガラス玉で、それ以外の178点は紺色のガラス玉です。金層ガラス玉は、2本のガラス管の間に金箔を挟んでいます。左手首付近から20個、右手首付近から23個のガラス玉が出土しています。いずれも紺色のガラス玉で、手首に着装したものと考えられます。足首に着装したと考えられるガラス玉もすべて紺色のガラス玉で、小さい玉ばかりです。左足首から51個、右足首から47個のガラス玉が出土しています。
鉄刀
西棺と同様に、東棺の人物の身体右側に鉄刀が1本置かれていました。現存長79cmでほぼ完存しています。鞘木、柄木の木質が部分的に残っています。
刀子
棺の南小口付近から刀子の身の小片、円筒状の銀製品が4点出土しています。銀製品が柄の両端の金具で2個一対になるとすると、刀子2点が副葬されていたと推定されます。
これら以外には副葬品はなかったようです。
(安村)
神人龍虎画像鏡