【コラム】高井田山古墳ってどんな古墳? (8)石室内出土の武器

2023年4月7日

 石室内からは、鉄刀、槍、矛、鉄鏃など多数の武器が出土しています。

 鉄刀
 棺内出土の鉄刀以外に柄部分が1点出土しているので、もう1本の鉄刀が存在したことはまちがいありません。西棺内もしくは西棺付近に副葬されていたと考えられます。

 槍
 刃部断面がレンズ状となる両刃の剣形鉄製品で、剣の可能性もありますが、石突の出土数から考えると槍の可能性が高いと考えられます。西棺と東棺の間から1本、玄室北西隅に4本が副葬されていたようです。いずれも刃部は鞘木に納められ、柄木の表面には格子状に糸が巻かれています。

 矛
 柄を差し込む袋部をもつもので両刃が2本、片刃が4本出土し、もう1本あった可能性があります。両刃のものは、玄室北西隅で切先を北に向けて槍と重なるように出土しています。片刃のものは、刃部断面が刀のように三角形となります。西棺と東棺の間から槍と重なるように2本出土し、東棺と東側壁の間からも2本が重なるように出土しています。

 石突(いしづき)
 槍など柄の長い武器の柄端部に差し込まれる鉄製品で、18点以上あったようです。長さ4cm前後の小形のものと、10cmを越える大形のものがみられます。小形の石突は槍と両刃の矛に伴うもので、大形の石突は同じ位置から片刃の矛が出土していることから、片刃の矛に伴うと考えてまちがいないでしょう。

 鉄鏃
 鉄鏃は、刃部の大きい有茎鏃が2本、短茎鏃が2本、無茎鏃が8本と、刃部の細長い長頸鏃が約150本出土しており、合せると160本余りの鉄鏃が副葬されていたと考えられます。長頸鏃は両刃と片刃のものがほぼ半数ずつとなるようです。山形文の残る漆膜が出土していることから、靫に入れられて奥壁に立てかけられていたと考えられます。

(安村)

コラム8

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