2021年のスポット展示
2021年(令和3年)
1~2月 『こんなモノをいただきました・村相撲』
かつて河内で盛んだった村相撲に関係する資料を展示しました。
明治から昭和の初めにかけて河内一帯では村相撲がとても盛んでした。河内を中心に80ほどの相撲部屋が点在し、近隣の部屋が集まり「組」を設けて、一年を通して取り組みを行ってました。当時相撲は、「見る」ものではなく「取る」ものといわれていたほど人気の娯楽でした。
展示の資料は、そうした村相撲で使われていた「化粧まわし」とまわしなどの荷物を入れる「明荷(あけに)」です。寄贈いただいた方の父が使用していた昭和初め頃のもので、四股名の「吉の崎」が刺繍された立派な化粧まわしです。以前は東弓削に住んでいたことから、八尾にあったの中組の東崎部屋の力士だったのかもしれません。
また柏原の国分地区にあった若ノ森部屋に関係する資料として、河内十三組相撲協会の「給金帳」、「感謝状」も展示しました。給金帳には各部屋の頭取(親方)や力士の名前が記された貴重な資料です。感謝状は、長年に渡って協会を支えていた若ノ森部屋の頭取・嶋ノ森(青木)彌三朗氏へ贈られたものです。
3~4月『こんなモノをいただきました・おひなさん』
展示のひな飾りは、「御殿(ごてん)びな」と呼ばれるもので、京都御所の紫宸殿(ししんでん)をモチーフにして作られた御殿をともなうひな人形です。江戸時代の終わり頃に京都・大坂で流行し、明治時代以降も関西圏で人気がありました。
当館には以前から2組の御殿びながあり、毎年交互に展示していましたが、先日新たな御殿びな(向かって右側)を寄贈いただきました。初公開となる御殿びなは、小ぶりですが細かな細工がされていて、見ていて飽きません。
5~8月『こんなモノをいただきましたーちょっと昔の調理器-』
市民のみなさんより寄贈いただいた、ちょっと昔の調理器を展示ました。
現代では、調理にガスコンロや電気コンロを使うのが普通ですが、かつてはお米を炊いたり、煮炊きをするのも薪や炭火による「かまど」を使っていました。
大阪では「へっついさん」と呼ばれることが多く、かまどを丁寧に扱わないと祟りがあると信じられていました。展示のものは「ひとつへっつい」で、動かすことができるかまどです。「ひとつへっつい」の左側には、市内の遺跡から見つかった6~8世紀の「移動式かまど」があります。これらのかまどは、古墳時代に中国や朝鮮半島から取り入れられた調理器で、「ひとつへっつい」の原形ともいえるでしょう。
ほかにも「しちりん」と「天火調理器」を展示しています。天火調理器は、鍋の下や蓋の上に炭を置いて、鍋全体で加熱する調理器です。日本式ダッチオーブンともいわれ、ひとつで焼く・煮る・蒸すなどの調理ができることから、最近のキャンプブームで再び注目されている調理器です。
9~10月のテーマ『こんなモノをいただきました-ちょっと昔の本と遊び道具-』
市民のみなさんより寄贈いただいた、ちょっと昔の本と遊び道具を展示しています。
当館には、江戸時代から昭和にかけての本が多数寄贈されており、文化7年(1810)の画譜や大正8年(1919)の応援歌集など、貴重なものを展示しています。
そうした本の文字やレイアウトは時代が移っていくにつれて、どう変わっていったのかじっくり観察してみてください。また、かつて小学校などで活躍した謄写版(ガリ版)も紹介しています。
遊び道具については「ひとやすみ」をテーマに、昔のトランプや雑誌、蓄音機とレコードなど、子供から大人まで楽しんでいた遊びの道具を紹介しています。テレビが普及する以前の1950年頃をイメージし、ついさっきまで遊んでいたような雰囲気を再現しました。
今回のスポット展示は、博物館実習の一環として、実習生8名が展示を担当し、展示構成やレイアウト、パネルづくりなどを行いました。
9~10月のテーマ『こんなモノをいただきました-タイプライター-』
今回は、市民のみなさんより寄贈いただいた、タイプライターを展示しています。
タイプライターは、ひとつひとつの文字盤にハンコのようなものが割り当てられていて、その文字盤を押すと紙に文字が印字されます。文字を記録するなど、筆記の仕事で使われた道具で、手書きよりも早く文書を作成できる事務機器として、さまざまな職場で使われていました。
日本では、19世紀末頃にタイプライターが知られるようになりましたが、当時のタイプライターはアルファベットだけの英文タイプライターしかなく、ローマ字で文書を作っていました。その後、カタカナや平仮名のタイプライターが考案され、さらに電動式のものや漢字が使えるタイプライターなども製品化されていきました。展示では、英文タイプライターのほか、電動タイプライター、電動和文タイプライターを紹介しています。