特集展示「悪鬼退散!-古代のまじない-」
2021年6月1日
展示期間
令和2年12月22日(火)~令和3年4月25日(日)
概要
今回の特集展示では、奈良時代のまじないの道具を紹介します。
「人面墨画土器」は、人の顔が墨で描かれている土器で、市内の安堂遺跡から見つかりました。井戸の中から出土した土器3点には、怒っているとも笑っているとも見える顔が描かれています。その顔は不吉なことを運ぶ疫病神、あるいは自身の穢れや病気を表現したものとみられ、それらを水に流す、言い換えると違う世界に送る、といったまじないが行われていたのではないでしょうか。
太平寺遺跡から見つかった 「土馬」は、馬の形をした土製品で、その用途には2つの説が考えられています。ひとつは、土馬を疫病神の乗り物である馬と見立てて、それを壊すことで疫病神の力を封じるという説。もうひとつは、牛馬を殺して雨ごいの祭りを行うことが奈良時代ではあったため、生きた馬の代わりに土馬を使ったとする説です。どちらの説が妥当かはわかりませんが、馬はそうしたまじないに関係する重要な動物だったといえるでしょう。
ほかにも、まじないに使用された舟形(ふながた)や剣形(けんがた)、人形(ひとがた)などの木製品も展示しています。人形については、おそらく人面墨画土器と同じように、疫病神あるいは自身の穢れの代わりとして使われたと考えられ、現代の「流しびな」とイメージが重なります。
古代の人々はどういった願いをまじないの道具に込めていたのか、ぜひ思いを巡らせてみてください。