【コラム】大和川のつけかえ(4)付け替えに反対した人たち

2022年2月25日

 延宝4年(1676)の検分に対して、新川筋29か村から「乍恐御訴訟」という付け替え反対の嘆願書が提出されました。訴えの内容は多方面に及びますが、その要約を以下に紹介します。
1.先祖伝来の田地が川底となる百姓は生活できなくなり、命にかかわる。
2.河内国は南が高いので川は南から北へと流れているのに、新川は地形にそぐわない横川である。しかも柏原村・船橋村から東除川までは西へ行くにしたがい高くなっており、その間には南からの川がいくつも流れているので、多くの土地が水損場となってしまう。
3.東除川から西除川にかけては更に地形が高くなり、西除川には多くの悪水が流れ込んでいるので、4~5万石は水損場となり、とりわけ13か村は水底に沈んでしまう。
4.瓜破村領、山之内村・杉本村領で34~35町(約3,800m)は、新川を造るために2丈(約6m)余も掘らねばならず、しかも地質は堅い岩盤であるから、その工事には莫大な労力・費用がかかり、掘り出した土の捨て場でたくさんの田地が潰れてしまう。
5.促進派は付け替えを行えば、旧川の川床や深野池・新開池に多くの新田ができると言っているが、実際にはそんなにたくさんはできず、井路川や道を差し引けばわずかである。
6.新川は自然地形に反した横川で、距離も短く、流れも急なので、堤への水当りが強くなり、堤が傷みやすく、その補修に莫大な費用がかかる。
7.新川ができれば、旧川には水が行かなくなるので、若江郡・渋川郡の村々は用水不足で日損を被ることとなる。
8.新川から北の村々は、東除川から西の地形の高い所では、川床の方が低くなるため、用水を確保できなくなり、やはり日損場となってしまう。
9.柏原村と手水橋の間には、東高野街道から紀州街道まで主要な街道が6筋も通っているが、新川によってそれらが寸断され、多くの人々が往来できずに困ることになる。
10.延宝2・3年の洪水で被害を受けた川下の百姓が付け替えを願い出たようだが、あの洪水は古今未曾有のものであった。川浚えをし、堤の補強をすれば十分維持できる。新川を掘ってその堤が決壊する方が、多くの田地や人命を失い大惨事となることが予想される。
 以上の理由で嘆願書を提出し、代表者9人が江戸へも訴えに下っている。

(安村)

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つけかえに反対した村々

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