【広報コラム】「1600年の時を越えて」(2024・11)
2024年10月25日
令和5年5月、1本の電話が歴史資料館にかかってきました。「ポスコジャパンという会社のものですが……」との挨拶で始まったその内容は、親会社が韓国にある会社で、韓国と歴史的なつながりのある柏原市の高井田山古墳に案内板を設置したい、という申し出でした。担当者と会い直接お話を伺ったところ、「POSCO Japan PC 株式会社」は愛知県に本社を置く鉄鋼メーカーで、大阪では泉大津市に工場を持ち、過去にも同様の案内板の設置を行っている、とのことでした。また実際に公園内を一緒に見学した際、高井田山古墳の案内板だけでなく、公園入口の看板と園内地図の案内板の更新もしてはどうか、という提案もいただきました。
史跡高井田横穴公園は平成4年に開園し、今年で32年を迎えます。設備の経年劣化が進んでいたこともあり、申し出を受け、合計3基の案内板を設置することが決定しました。デザイン案の検討から、韓国での製作、日本への搬入まで1年以上を要し、今年9月に設置が完了、10月2日に寄贈式が行われました(30ページに関連記事)。
高井田山古墳には、5世紀後半に亡くなった百済の王族が眠っています。その王族にとって、およそ1600年後に自分の墓の近くに、故郷である韓国製の案内板が設置されるとは夢にも思わなかったでしょう。ただ、日本と韓国が友好関係にあることは、当時の人からすれば、ごくごく自然な姿に見えているかもしれません。
▶高井田山古墳の新たな案内板
(2024年11月号掲載)
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