【広報コラム】「石村洞(ソクチョンドン)古墳群と茶臼塚古墳」(2024・4)
2024年8月20日
昨年12月に韓国ソウルの漢城百済(ハンソンペクチェ)博物館を訪問した際に、同館が調査を継続している石村洞古墳群を案内していただき、最近の調査成果についても詳しい説明を受けました。この古墳群は、百済(くだら) の初期の王墓を含んでいると考えられ、王墓とみられる古墳は方形で階段状の墳丘をもつ積つみいしづか石塚です。古墳は土を盛って築かれるのが普通ですが、積石塚は石を積み上げて築かれています。百済の北の高句麗(こうくり)で広くみられる古墳の形態で、初期の百済の王墓は、高句麗の影響が強かったようです。
石村洞古墳群は、以前から注目していた古墳群です。その理由は、この積石塚とよく似た古墳が柏原市内にあるからです。それは、国分市場の茶臼塚古墳です。茶臼塚古墳の墳丘は大量の石を積み上げて築かれており、積石塚とされています。墳丘は垂直に石を積み上げて2段の階段状になり、前期古墳としては日本で唯一の墳丘形態です。その古墳とよく似た古墳が百済の石村洞古墳群にあるのです。もしかして、茶臼塚古墳は百済と何らかの関係があるのではないか?と考えています。
ただし、問題も残っています。茶臼塚古墳の年代は4世紀前半ですが、石村洞古墳群の造営開始が4世紀前半まで遡(さかのぼ)るかどうか。石村洞古墳群は、今後も調査を継続されるようなので、いつか柏原市との関係が明らかになるかもしれません。漢城百済博物館との交流を進めるなかで、この点についても研究を深めたいと思っています。
▲石村洞4号墳
(2024年4月号掲載)
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