三田家と寺田家7

2018年4月16日

建築から250年を迎えた三田家住宅

 寛永17年(1640)に今町に移り住んだ三田家は、明和3年(1766)から5年にかけて建物の普請を行いました。これが現存する三田家住宅です。明和5年(1768)の竣工から今年(平成30年・2018)で250年となります。平成29年度春季企画展「今町」は、これを契機として開催することにした企画展です。三田家住宅は、昭和44年(1969)に国の重要文化財に指定されています。

 奈良街道に面して東に表をおいた平入りの主屋は、間口1間半の広いミセ土間があります。土間には、積み上げられた商品で壁が傷むことを避けるために、壁に埋め込むように「荷ずり棒」が立てられています。土間の右手にミセがあり、ミセ奥との間は板戸障子で区切られています。その奥には、カンジョウの間、仏間が続きます。ミセの反対側は、納屋蔵となり、商品などを置いたようです。奥ニワは中と奥に分かれ、カンジョウの間に面する中土間には人足、下働きの休憩場があり、奥ニワには焚口を六つももった大カマドがありました。主屋の土間上には美しい柱の架構がみられます。梁行5間半、中央の1間半に牛梁を2本通し、この上に2本の梁を入れています。

 当時は、町屋の建物に対する規制が厳しく、しかも大和の中井大工守の許可がなければ建築できませんでした。その許可を得たうえで三田家住宅は建てられているのですが、許可を得た当初の建築計画にはなかった座敷が設けられています。これも主屋と同時につくられたと考えられ、普請願には書き上げず、着工後に無届けで増築されたものと考えられます。少しでも大きな建物を建築するために、危険を犯しているようです。

 これらの経緯を示す「普請願」や「跡普請目録」、大工の出面表などが残っており、これら5点の古文書も重要文化財の附けたりとして指定されています。

 三田家住宅は現在もお住まいのため、普段は公開されておりません。年に数回公開される日がありますので、その際にご見学ください。今回の企画展に合わせて、平成30年4月22日(日)の10時から12時まで、寺田家住宅とともに公開します。ぜひ、この機会にご見学ください。

(文責:安村俊史)

三田家住宅
写真:三田家住宅(重要文化財)

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