柏原船7

2017年3月6日

三田家と柏原船

 三田家は、柏原市今町に明和年間(1760年代)の建物が残っており、国の重要文化財に指定されています。今町三田家の初代三田浄久が、寛永17年(1640)に大坂組の一人として柏原船の営業に参加しました。大坂伏見の呉服町で大文字屋の屋号で商売を営んでいましたが、柏原に移り住むことになったのです。奈良街道に面して店を構え、家の裏(西側)に了意川が流れているため、船から直接荷揚げをすることも可能でした。南西には柏原船の終点にあたる船だまりもありました。

 寛永17年(1640)には2艘のみの株を持っていただけですが、その後徐々に増えて寛政元年(1789)には16艘、文政4年(1821)から10年(1827)にかけては21艘の船持になりました。その後、株数はやや減りましたが、文政11年(1828)以降明治まで14艘の船持でした。

 柏原でも大文字屋として、肥料商など手広く商売をし、新田などの土地も広く所有していました。三田浄久は、河内のガイドブックともいうべき『河内鑑名所記』を延宝7年(1679)に刊行しています。また、歌を詠んだり、幅広い文化人と交流を重ねていました。多数の蔵書をかかえていたことでも有名で、文化人として柏原の文化的発展に貢献しました。また、三田家の出自を示す水野家文書は柏原市の有形文化財に指定されています。

 現在の重要文化財の建物は、明和3年(1766)から5年(1768)にかけて建てられたものです。主屋と土蔵が重要文化財に、附けたりとして塀と普請関係文書5点が指定されています。建築当時の史料が残っていることでも貴重です。今町へ移転してから100年余りのちに建てられたことになります。柏原船の船数も増え、商売も安定してきたころだったのでしょう。三田家には多数の古文書が所蔵されており、柏原船に関する史料も多数あると思われますが、まだ調査が進んでいません。今後の調査に期待したいと思います。

(文責:安村俊史)
三田家
写真:三田家(柏原市今町、重要文化財)

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