~おひなさん10~

2016年3月22日

ひな祭りの風習

 みなさんのお宅では、ひな人形を飾っておられるでしょうか。今でも女の子のいる家では、小さくても飾っている家が多いのではないでしょうか。ひな人形を飾ると、こどもだけでなく、親もうきうきするものです。ところで、ひな祭りはいつの行事でしょう。「3月3日に決まっているじゃないか」という方もおられるでしょうが、今でも旧暦でひな祭りを行っている地域が少なくありません。

 また、江戸時代の中期から後期(18~19世紀)には、上方では9月9日にもひな人形を飾っていました。9月9日は重陽(ちょうよう)の節句です。これを「後(あと)のひな」などと呼んでいましたが、今では9月にひな人形を飾ることはすっかりなくなりました。

 流しびなの風習が残っている地域も少なくありません。もともとの罪や穢れを川に流すという意識がそのまま残った行事です。鳥取県の用瀬(もちがせ)では、桟俵(さんだわら)に紙びなをのせて川に流します。近畿でも、和歌山市加太や吉野川、紀の川流域で広くみられます。少しかたちは違いますが、各地のその名残りがみられます。

 また、ひな祭りのときには、ひな人形を飾っている家へ行って、餅やあられを勝手に食べてもいいという習慣がありました。こどもたちが主役で、自由にできたのです。これを愛知県では「ガンドウチ」、岡山県では「ひな荒らし」と呼び、今でも残っています。

 山遊びや磯遊びとひな祭りが一緒になった風習が残っている地域もあります。山や磯へ行って、そこで人形を飾って食べたり遊んだりするのです。その主役を務めるのは、女の子と決まっています。

 このように、形を変えながらも、さまざまなひな祭りの風習が残っています。みなさんの地域におもしろい風習があれば、教えてください。

 ところで、今年の旧暦3月3日は、4月9日になります。また、旧暦の3月最初の巳の日、上巳(じょうし)は3月11日で、4月17日にあたります。だから、今年は4月17日までひな人形を飾っていてもいいのです。みなさんも、ほこりをかぶっているひな人形があれば、久しぶりに飾ってみませんか。

(文責:安村俊史)

鳥取県用瀬の流しびな

鳥取県用瀬の流しびな

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